公演案内
You know my name
(第46回公演)
作・演出 川村武郎
出演 MIZUKI 太田翔伍 川村武郎
日時 6月9日(金) 19時 10日(土) 14時・19時 11日(日) 14時
会場 THEATRE E9 KYOTO

個人的な話で恐縮ですが、最近、身近で認知症になる人間がおりまして、母親は既に私のことは全く認識してないみたいですし、元気だった叔母も急激に症状が進んでおります。
で、毎度のことながら不謹慎人と言っても、高齢化社会や介護問題とかを描く社会派演劇では全くありませんで、「人間って周りも自分もわからなくなるってすごいなあ」という着想でありまして、「するってぇと、世の中をちゃんとわかったつもりで生きてるオレなんかも実は結構ヤバいのかもしれない」というあたりのことを書こうかな?とか、またまた実に不謹慎な創作意欲が芽生えてしまったのであります。
で、チラシにこんな文章を書きました。
2023年は「AI元年」と言われております。私も噂のChatGPTをいじくったりするんですが、ほんとすごいです。誠にご聡明でいらっしゃる。こんなのが出て来たらマジで人間はヤバいよなあって思います。でもね、それでも人間がAIに負けない所もありまして、例えば、人間は認知症になるし、幻視が見えたり、幻聴が聞こえたりする。いや、皮肉で言ってるんじゃないんです。人間って、目で見たり、耳で聞いたりしてると思ってたんですが、そうじゃないんですってね。脳で見たり聞いたりするんだそうですよ。だから、人混みの中でもちゃんと相手の声が聞こえるし、緑内障で視野欠損しても、脳が補っちゃったりする。最近、「見たいものしか見ようとしない人々」を非難する声があったりしますが、実は、脳って本質的にそういう見方をしちゃうんですよね。(選択と集中? 違うか? )だから、「私はこの目で確かに見たんだ」という現実は、実は案外あてにならないものだったりして。私たちが見てたり知ってたりする世界とか、人とか、あるいは私とかって、何なんですかね? ホントなんですかね? ホントとかウソとか現実とか事実って何なんですかね? ああ、こんなこと考えてたら眠れなくなっちゃうよ!
で、予定としては、「昔流行った実存主義とかシュールリアリズムみたいな世界が描ければカッコイイんじゃない? 大江さんも亡くなったことだし、タイムリーじゃないの?」とか、野望を抱いたりするわけですが、野望はあくまで野放図な欲望にすぎないわけで、看板倒れになるであろうことをあらかじめお詫び申し上げます。
作者 再拝
【追記】
ひと言で言うと、昔懐かしい「自分探し」の話です。
ただ、たぶん、よくある「私って何者?」という自分のアイデンティティを探求する「自分探し」とはちょっと違って、「私が私である」とか「あなたがあなたである」というのは、そんなに確かなことなのかな? みたいな話です。
でも、別に難しい哲学的な芝居ではなくて、相変わらずいつものようなダラダラしたコミカル芝居になると思いますのでご安心下さい。